マイホームを所有している方であれば、誰もが避けては通れないシロアリ問題。シロアリは1匹見つけると、3万匹はいると言われています。

シロアリの生態

シロアリは実はアリとは食性も生態も全く異なり、どちらかというとゴキブリの仲間です。

アリは女王を中心とした社会性昆虫であるのに対し、シロアリは女王と王のペアを中心とした社会性昆虫。卵から幼虫を経てほとんどのアリは働きアリとなりますが、一部は頭部が発達した兵アリとなります。

コロニーがある程度大きくなるとニンフという階級のアリが誕生。やがて羽アリとなって一斉に飛び立ちます。飛び立った羽アリは着地すると羽を落とし、雄と雌が新たにカップルとなり新しいコロニーを作ります。

シロアリの種類

日本には22種類のシロアリが生息していますが、大半のシロアリは土壌改良に重要な役割を果たしている益虫です。

家屋に被害を及ぼすシロアリは5種類ですが、主要なのはヤマトシロアリとイエシロアリ。特にヤマトシロアリが多く、8~9割を占めます。

ヤマトシロアリは、山や林の朽ち木や、庭や家の土台のあたりの湿って腐りかけた木材などでよく見かけます。「餌場=巣」なので、餌場の環境が悪くなると、新しい餌場を求めてコロニーごと移動します。

イエシロアリは、屋根裏や床下、土中などで大きな巣を作ります。そこを拠点に長い地下道を作って地下から侵入するため、家に付いたシロアリだけではなく、巣を探して巣ごと駆除することが必要です。

シロアリの害

ヤマトシロアリは、湿った木材を食べて栄養と水分を摂ります。あまり食欲は旺盛ではないので、加害の方も緩慢です。家の被害も、浴室や湿気の高い床下などの下部に集中しています。

イエシロアリは、繁殖力が強く、古材よりも新材を好みます。食欲は旺盛で加害も急激なため、被害が家屋全体に及んで家が倒れることもある危険種です。

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シロアリが発生する原因

シロアリが発生する原因は主に、【床下の湿気】、【木材の腐食】、【日陰】の3つです。柔らかい木材と水分、風通しが悪く日光に当たらない空間を好みます。

シロアリに冬眠はなく年中活動をしていますが、??春から梅雨にかけ気温の上昇とともに、地中から出て活動を始めます。 エサである木材と水分を求めて、人間の住宅や木の中へと移動しているのです。

【床下の湿気】

シロアリは乾燥に弱く湿気を好み、光や風を嫌います。建物の中でも特に湿気が多いのが床下で、シロアリは地面から床下を通って、建物の中に入って来ます。

湿気が溜まると体にも悪影響を及ぼすように、建物にも悪影響を与えます。基礎工事の高さが低かったり、床下の換気口付近にエアコンの室外機の障害物があったりすることが多く、床下は湿気が溜まりやすいと言われています。

湿気が溜まりやすいお風呂場も注意が必要です。特にタイル風呂は、床が土間になっているため水分が溜まりやすく、他の箇所より湿度が高くなってしまいます。お風呂から出たら、必ず換気扇をつけるか窓を開けて換気を心がけましょう。

同様の理由で、玄関タイルを水洗いしている場合も要注意。水洗いされたタイルの下は、シロアリにとって住みやすい環境になってしまっています。

【木材の腐食】

シロアリが好む要素の1つが木材です。木材は、元々カビなどの菌では分解のできない丈夫な成分でできていますが、木材腐朽菌という菌が木の成分を分解し、栄養に変えてしまいます。菌が木材を分解させ、シロアリをおびき寄せてしまうのです。

シロアリは木材でもとくにやわらかい箇所を好むので、木材が腐食しているところに発生しやすくなります。雨漏りや水漏れで濡れてしまった箇所は要注意です。雨漏りは屋根や天井、外壁などあらゆる箇所に発生するので、定期的なメンテナンスを行いましょう。

【日陰】

シロアリは、少しの光でもダメージを受けてしまうほど、肌が弱いのが特徴。黒アリのように地上には生息せず、土の下で過ごしています。木を食べにくるときも、光に当たらないように作った土のトンネルを利用して移動しています。

そのため、光が当たらない日陰はシロアリにとって住みやすい絶好の場所になります。地面に置かれている物や植木鉢などは、定期的にずらして日陰を作らないようにしなければ、住み心地のよいシロアリの住処となってしまいます。

ご自宅の外周に廃材や植木鉢などを放置していませんか?

どうしても物を置かなければならない場合は、ビニールシートを間にかませるなどして、シロアリが辿り着きにくいようにしましょう。

シロアリ被害の初期症状

シロアリ被害の初期症状は主に【床のきしみ音】、【壁の空洞音】、【羽アリの発生】、【蟻道の発生】があります。初期症状のうちから対策をすれば被害も少なく、費用も抑えられますので、早めに対処しましょう。

【床のきしみ音】

ギィギィと鳴る床のきしみ音は、必ずしもシロアリ被害だけが原因ではありませんが、シロアリが原因の可能性も高いのです。木材は、気温や湿度によって床がきしむこともありますが、シロアリが原因で床がきしんでいるのであれば、放置しておくともっと大きな被害が起きることもあるため危険です。シロアリは木材を好んで床下から侵入してくるため、被害は床下部分から始まり、床材が食い荒らされていきます。

その結果、床のへこみやきしみがおき、きしんでいる音が聞こえるようになるのです。特に水回りの床材は湿気がこもりやすいため、より注意が必要です。家の中を歩いて、きしむ音がしないか確認してみましょう。

【壁の空洞音】

壁や柱がシロアリに食い荒らされていると、中が空洞になるので壁を叩いた時に空洞音がします。素材によっても音は異なりますが、木材はどこを叩いても音が変わることはないので、違う音がする場合はかなり注意が必要です。

また、もっと被害がひどい場合は壁や柱を少し押しただけでもへこみます。目に見える変化ではないため気づきにくい箇所ではありますが、ご自身でも確かめることができます。

【羽アリの発生】

羽アリは集団で行動をし、天敵から襲われるのを防ぐ性質があるため、一度に大量発生します。

羽アリが発生しやすいのは関東地域では、4月?5月の雨上がりや気温が高く蒸し暑い時です。

また、羽アリは名前の通り羽がついているアリで、羽を自ら切り落としそこにオスが寄ってきて巣を作ります。建物や建物の周辺で羽アリが発生している場合は、シロアリがいる可能性が高いと言われています。

ここで安易に羽アリに殺虫剤をかけてしまうと、建物のいたる所に羽アリが逃げて分散し、別の場所から羽アリが出はじめたり、その後の完全な駆除が困難になったりするため注意が必要です。

【蟻道の発生】

シロアリが通る道を、蟻道(きどう)と言います。シロアリは地面を歩いて侵入してくるのではなく、床下から木材を目指して地中から建物に侵入してきます。そのために、蟻道を作るのです。

蟻道は他の天敵からも邪魔されず、人間からも気づかれにくいため、シロアリにとっては必要不可欠なものです。蟻道の作り方はシロアリの種類によって異なり、細いヒモのような蟻道を作ったり横に広い蟻道を作ったりします。

シロアリはコンクリートでも蟻道を作って侵入してくるので油断はできません。蟻道がある場合、すでに大勢のシロアリが生息していますので、早急に駆除してもらいましょう。

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シロアリの駆除方法

正しいシロアリ駆除業者は、公益社団法人 日本しろあり対策協会が発行する標準仕様書に則って作業をおこなっています。作業方法は以下の通りです。

1.木材に薬剤を注入する

2.木材に薬剤を吹きかける

3.床上も同様におこなう

まずは、シロアリの被害にあっている木材にドリルで穴を開け、薬剤を注入します。穴を開けてから薬剤を注入することで、薬剤を木の内部にまで浸透させ、より効果的にシロアリを駆除することができます。穴の大きさは6mm~8mm程度ですので、建物に影響はありません。

次に木材の表面に薬剤を吹きかけていきます。この薬剤には防腐防カビの成分も含まれているため、シロアリの駆除だけではなく木材を保つことも可能です。

シロアリは、必ずと言っていいほど地面の下から建物に侵入してきます。そのためシロアリ駆除や対策は木材だけでなく、床下の土壌部分にも薬剤を施工する必要があります。

この時にシロアリの被害にあっている部分だけではなく、今後のシロアリ対策をかねて床下全面に薬剤を施工しておくとよいでしょう。

床下の施工が終わったら床上も施工をします。なぜなら床下だけでは、シロアリの侵入経路を完全に塞ぐことができないからです。玄関や勝手口、タイル張りの浴室などを主に施工しましょう。

ご自身でのシロアリ駆除も可能ですが、薬剤や工具の扱いに慣れていないと難しいですので、できる限り業者へ依頼するのがおすすめです。

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よくある質問

Q.シロアリは飛びますか?

A.日本全土に分布するヤマトシロアリは4~5月の昼間に、太平洋沿岸・九州・瀬戸内地域など暖地に分布するイエシロアリは6月~7月の夜に、いずれも一斉に群飛し、イエシロアリの羽アリは電灯に飛来します。

Q.黒い羽アリはシロアリですか?

A.黒い羽アリはクロアリとは限らず、シロアリである可能性もあります。 シロアリの羽アリは白くなく黒っぽい色になる種類もいるので、色のみで見分けるのは難しいです。

Q.羽アリとシロアリはどう見分けますか?

A.アリの胴体にはくびれがありますが、シロアリは寸胴。 最も見分けやすいと思われるのは翅(羽)で、いずれも4枚ですが、アリは後翅のほうが小さく、シロアリは前後の翅がほぼ同じ大きさ。 シロアリの翅はとてもとれやすいので、もしもシロアリが棲みついている場合は、家の周辺に大量の翅が散乱している可能性が高いです。

Q.シロアリの巣は地下何メートルにできますか?

A.シロアリの巣は地表から1m?3mほどの深さに作られるので、ピンポイントで場所を見つけることが難しいのです。

Q.シロアリが出た家はどうなりますか?

A.シロアリ被害を受けると家の木材が食べられ、放置すれば床はぶかぶかしてきますし、主要構造材を空洞にしたりするので耐震性に問題のある家となり、地震などの震災で倒壊する原因になります。 実際に阪神淡路大震災で倒壊した家の多くは、シロアリや腐朽被害があったとの報告があります。

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